2016年5月17日 星期二

[新聞] 中国版AKB、文革賛歌で“詐欺”騒動

 中国版AKB48ともいわれる紅い美少女アイドルグループが、共産党の規律を犯し、悲惨な文化大革命(1966~76年)を礼賛したとして大騒動に――。
 5月16日は、ちょうど半世紀前、毛沢東が権力奪回のため発動した文化大革命の端緒となった日だ。党中央による「516通知」の結果、毛沢東の妻、江青らによる「中央文革小組」が置かれた。江青は後に「四人組」の一人として逮捕、断罪される。中国共産党はその後、多大な犠牲者を出した文革を否定し、「改革・開放」路線を歩んできた。

■アイドルらが「毛・習」礼賛
 事件はその直前の5月2日に北京の人民大会堂で起きた。「フラワーズ56」と名乗る美少女アイドルグループが、文革の代表的な礼賛歌を熱唱。背景に軍服姿の毛沢東の絵が掲げられた。まるで無期懲役となって服役している元重慶市トップ、薄熙来が重慶で派手に展開した毛沢東を礼賛する紅い歌を唱う会のようだった。
 さらなる問題は、アイドルらが唱う演目表に、国家主席、習近平を礼賛する新しい歌が少なくても2つあったという事実だ。毛沢東と同様に習を持ち上げている。その歌は「肉まんや」と「あなたを何と呼べばよいのか」。「肉まんや」は習近平が2013年に北京の安価な肉まん店を突然訪れ、庶民とともに食べたエピソードを歌にしている。
 習の庶民性をたたえる個人崇拝色の強い歌は、事実上の共産党公認。当時、中国の知識人らは、文革を想起させるとして眉をひそめ、一部で強い批判も出た。5月2日の人民大会堂での演目では「世界の人民が団結して侵略者の米国と、その走狗(そうく)を打ち破ろう」という時代錯誤の文革期のスローガンも掲げられた。北朝鮮並みである。
 過去に中国紙が「フラワーズ56」を紹介した記事によると、共産党の紅い歌などを唱うために結成されたアイドルグループで、民族主義の色が濃い。ただし、ミニスカート姿である。
 日本のAKB48の姉妹グループとして上海を中心に活動するSNH48に対抗心を燃やす。以前、「フラワーズ56」のメンバーが秘密裏にライバル、SNH48のオーディションを受けたため、首になった事件まであったという。
 このグループは中国政府の文化省と関係が深く、彼らのけいこ場には役所の看板がかかっていた。メディアを指揮する党中央宣伝部、党の人材育成機関である共産主義青年団(共青団)中央の支持もあるとしている。
 中国に住む56民族を代表する15、16歳の少女らで構成する。とはいえ「五十六」と書けば、くしくも文革開始の日の「五・十六」に合致する。5月2日は、まさに文革を奉ずる美少女アイドルに成りきっていた。
 中国国営通信、新華社のインターネット版によると、5月2日の公演は、「党中央宣伝部社会主義核心価値観宣伝教育弁公室」「共青団中央中華未来の星全国組織委員会」「中国歌劇舞劇院」などが共催していた。
■習主席の幼なじみが大反発
 党・軍関係者、一般客で満席だったという5月2日の公演が終わるとすぐに情勢は急変した。元労働相、全国政治協商会議元副主席の娘、馬暁力が、党中央弁公庁主任で習の側近である栗戦書に宛てて、告発の公開書簡を送ったのだ。文革を称揚する内容は党の過去の決議に明確に違反しているうえ、現在の党中央の大方針と不一致だ、と喝破している。
 舌鋒(ぜっぽう)鋭い馬暁力は党高級幹部の子女を指す「紅二代」=「太子党」である。同じ「紅二代」の習とは小学校の同窓で、幼なじみという。共通点は、父親が文革など政治運動でひどい迫害を受け、自らの少年少女時代にもその影響があったという経歴だ。ここがミソである。習の側に立って左への傾斜を戒めている構図だ。効果は絶大だった。
 5月6日、開催に関係した2団体が「我々はだまされていただけだ」という趣旨の声明を発表した。主催者である中国歌劇舞劇院、そして公演開催の申請を認めた北京市西城区文化委員会だ。党中央宣伝部の社会主義核心価値観宣伝教育弁公室が主催者に入っているのは嘘だ、というのである。
 間もなく5月2日公演時の写真を含む様々な報道、「フラワーズ56」と先に紹介した2つの声明が載った関連サイトは閲覧を制限されたり、削除されたりした。奇怪である。内部で大論争、闘いが勃発した証拠とも言える。
 2つの声明は「党中央宣伝部はこの公演に無関係。我々もだまされただけ」と説明している。ではだましたのは誰か。よく分からない。余りに奇怪な展開のため、中国政界では様々な臆測が一気に広がった。
 「5月2日の派手な公演内容について党決議違反との声が党内で強まり、大問題になったため、慌ててフタをした」「褒め殺しで習近平を追い落とそうとしている臭いさえ感じる」
 後者の「褒め殺し」については、馬暁力自身が中国系メディア、鳳凰資訊のインタビューで答えている。余りに率直な内容のため、既にインターネット上では削除されているが、紹介したい。
■「褒め殺し」の裏に権力闘争
 「彼らは個人崇拝、個人への迷信という大きな落とし穴を掘った。褒め殺しだ。その対象は習総書記である。個人崇拝は全党の怒り、反感を買う。文革では教訓があった。こんな行為をする人間には必ず野心がある。警戒が必要だ」
 極めて明快である。そして、警戒すべき相手も指し示した。
 「フラワーズ56の子どもら、歌劇舞劇院には何の責任もない。非常に悪劣なのは、組織者、操縦している者らだ。薄熙来はもう人民大会堂に入れないが、彼らは入れる。そして誰が認めたのか。はっきりさせるべきだ」
 薄熙来を支持した左派、特に「毛左」といわれる極左への警戒感をあらわにしている。さらに、文革礼賛を認めてしまった党中央宣伝部などにも矛先が向いている。
 絶大な権限を持つ党中央宣伝部は、常に権力闘争の中に身を置いている。宣伝・イデオロギー担当の最高指導部メンバー、劉雲山は新華社の出身で、もともと、元国家主席の江沢民に近かった。習が「反腐敗」運動で江に近い人物らを次々と捕らえたため2人の関係は極めて微妙だ。
 党中央宣伝部長の劉奇葆は、共青団中央書記処書記から上がってきた共青団派だ。共青団は、紅二代=太子党と人事を巡って権力闘争を繰り広げてきた経緯がある。現在、共青団を束ねる立場にあるのは首相の李克強。経済政策のかじ取りの実権まで事実上、奪った習との仲は冷えきっている。
 一方、集権を進めてきた習は今、経済減速、苛烈な反腐敗への反発など様々な壁にぶつかり、これまでのような勢いを失いつつある。ついに党規律検査部門が調査を開始したというこの奇怪な「5.2事件」。いったい習はどう裁くのか。そして今後の中国政局にどう影響するのか。興味は尽きない。(敬称略)

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